人生は楽しまなくっちゃ

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母の何かが変わっていく

まだ外部の人に頼ることに思い至らない頃のことです。この頃は2か月に1度くらいのペースで実家に帰っていました。まだそんなに切迫感は持っていなかったと思います。妻と二人で両親の様子を見に帰っていたときのことでした。古くて狭い家でしたが台所には冷蔵庫が2台ありました。なんとはなしに冷蔵庫の中はどうなっているのかな~と、いつもより注意して見てみました。期限切れの食品がたくさんあるのです。ジャム、バター、海苔の佃煮、牛乳…。妻が野菜室を開けました。「う~~!」妻の苦しそうな叫び声が聞こえたような気がします。あわてて私も見てみました。野菜室の中には新しい野菜の下に古い野菜が隠れていました。干からびたトマト、黒くドロドロに溶けかかった長ネギ、ほうれん草、ショウガは干からびたものからまだ新しそうなものまで何世代もありました。 認知症になるってこういうことなんでしょうね。 息子たちとに会うときには緊張して頑張ってちゃんとした姿を見せてくれていましたけど、普段の生活は少しずつおかしくなっていたんでしょう。

最近では珍しく大雪の中の実家 実家・冬.JPG

慌てて野菜室の引き出しを抜いて、腐った野菜、干からびた野菜、古そうな野菜を新聞でくるんで捨てました。野菜室の大きな引き出しはお風呂場で洗い流しました。  母は…

小規模ながらも自宅で若い人に料理を教えていたはずの母は、少し悲し気な顔をしながらオロオロとみていました。

物の古さと新しさが判断できないのか、あることを忘れて同じものを買ってきてしまうのか、古いものを処分したくないのか、前にも書きましたが、両親は家業を倒産させた経験があります。苦しかった生活の事が記憶に残っているので物が捨てられないのかもしれません。

家の中をもう一度見直しました。ティッシュの箱とかトイレットペーパーとか家の奥の廊下には、何が漬け込んであるかわからない大きいビンがいくつもありました。何かを漬けたお酒とか、味噌が大好きだったのですが、それこそ10年以上もたっていそうなホコリを被ったビンがいくつもありました。茶の間の立派な紫檀の年代物の茶箪笥には何回も使った形跡のある包帯やらガーゼやら湿布薬がどっさり出てきました。何だかわからない薬もいっぱい出てきました。

認知症のせいばかりとは言えない、一度でも生活が苦しかった経験があると、物が捨てられなくなるんですね。

それからは、実家に帰る度に「今回はここ」と決めて、古くて使えそうもないものを捨てるようになりました。