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夏の雷音 堂場瞬一 小学館文庫

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珍しく警察が主人公ではない堂場ミステリーです。舞台は神田駿河台。裏道の情景や、古い喫茶店、街の食堂(おそらく学生向けの)など街の様子が丁寧に描かれていてプ~トロも懐かしくなりました。学生時代をこの街で過ごした人にとっては、必読の一冊ではないでしょうか? 

堂場さんこの街の大学の卒業生では?と思いカバーの著者略歴を見るとそうではありません。ひょっとしたら予備校に通っていたのかな…と関係ない妄想。(当時は、あの街で一番偉そうに歩いているのはS予備校生だ!と言われていましたから 笑)

ストーリーは、いわくつきのギターの名器をめぐる殺人事件を、大学教授が解き明かしていくというもの。謎を解いていく過程は、良くも悪くも堂場ミステリーでグイグイ引き込まれていきます。

堂場さんの作品では、調査(捜査?)が進むにつれて登場してくる人物が犯人であることが多く、登場人物同志の意外な関係性が暴かれて事件解決になるパターンが多い、と思うのですがいかがでしょうか?このパターンを頭に入れて読むと、犯人捜しが楽だったりするかもしれませんが、意識しすぎると読書がつまらなくなりますね。

www.putorobook.com

この作品では、もう一つの堂場ワールドが全開です。もう一つの堂場ワールドとは、モノに対する蘊蓄。この作品の主人公はギターと言ってもいいくらいあるギターが謎解きの主役になっています。「オトコの一理」ではギターのことにはまったく触れられてなかったのに、この作品ではロックとギターに関する蘊蓄が満載です。

逢沢杏子ちゃんも光ってました。

そして、この作品で一番光っていたのは、逢沢杏子ちゃん。主人公の吾妻幹准教授の生徒なんですが、事件解決に一枚からんでいるわけでもないのに、やたらと存在感があって魅力的でした。(単なるプ~トロの趣味かもしれません 笑)もしかしてもう少し活躍させる予定で登場させたのが、活躍する場面が作れなくなったのかも?と想像するのもまたこの作品の楽しみですね。

ギターコレクターの世界にどっぷり浸からせてくれる一冊!神田駿河台で青春を送った人には是非読んで欲しい!

最後に、タイトル「夏の雷音」です。雷音=ライオン なので、ライオンのようなタテガミがふさふさした人物、ライオンのように狂暴な人物が主役?がどこかで登場してくるのかと思って読んでいたら、ちょっと肩透かしを食いました。 まあ正解は読んでのお楽しみということで。