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十字の記憶 堂場瞬一 kindle おススメです。

関東の地方都市の高校の同級生二人が主人公。一人は地方新聞の支局長。もう一人は殺人事件の捜査本部に入った県警捜査一課の警部補。2人は同じ高校の陸上部の仲間だった。2人は同じ陸上部の仲間が街を出ていく現場に出くわしたが、止めることができなかったという苦い思い出を抱えていた。

ストーリーはこの2人を中心に展開していくのだが、堂場作品が読みやすく飽きないのは、状況の描写と主人公たちの内面がリアルに感じられ、経験者でしかわからないディテールまで表現されえいるから。そしてストーリーの舞台がになるのが適度な地方都市が多く、プ~トロの実体験と重なる部分が多いので登場人物たちの動きが鮮やかに思い描けるから。だと思っています。

この作品が堂場さんの96作目ですが、そのうち何冊読んだんでしょう。おそらく2/3は読んでいますが、さすがに飽きてくるのではと思うのですが、「堂場瞬一」の文字をkindle上でも探してしまうのは…やっぱり面白いからなんでしょう。

この作品では現在の事件と20年前の青春の記憶、そして20年前の「事件にならなかった」事件の解明が同時進行していきます。

堂場作品には猟奇的な事件は出てきません。現実にありそうな事件ばかりです。登場人物も実際にいそうな人物ばかり。ぶっ飛んだキャラクターはいません。

きっと堂場さんが自分の、実際に経験したり、ちょっと想像したりした事柄で組み立てているからなのでしょう。読んでいると堂場さんがどんな少年だったのか、どんな仕事をしていたのか、勝手に頭の中で堂場瞬一像が出来上がっていくようです。

ちょっと意地悪く想像してしまうと、青春時代、記者時代、堂場さんが憧れていた?知人・友人たちの世界を描いているのかもしれません。

この作品でも、20年前に街を出ていくのを止められなかった友人を、職務を異逸脱してまでも夜通し説得し、20年前には口にできなかった言葉で包むくだりがありますが、胃読んでいてうらやましくもあり、自分の青春を思い出させてもくれ、とても素敵な場面に思えました。

だから堂場作品の愛読者であることを辞められません。