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鬼はもとより 青山文平 徳間文庫

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カバーのビジュアルが気になって買ってしまいました。タイトルから推測して剣豪が鬼神になって活躍するような時代小説を想像したのですが、全然違いました。話はもちろん江戸時代、貧困にあえぐ東北の弱小藩が、一人の「鬼」によって立て直されるという話です。

「鬼はもとより」この言葉を最初は理解できませんでした。主人公が悪役を征伐するときに発する決まりゼリフだと思ってました。しかし読み終わって、このタイトルに納得がいきます。鬼にならざるをえなかった一人の武士、彼は、鬼は当たり前、鬼以上に、他人にも、自分にも、苛烈な存在になって藩を救うのです。そういう意味で「鬼はもとより」鬼以上に怖い存在になることを自分に課すのです。

鬼以上に厳しくなることによって、緩み切った藩内を引き締め、そして藩を立て直していく物語でした。「信賞必罰」全員に公平に賞を与え、公平に罰を与えなければその組織はダメになってしまう。この当たり前の理屈をわからない人たちがどんなに多くいることでしょう。他人には厳しく、身内には甘くなる「鬼」はあまたいますが、この作品のように他人に厳しく、身内にも厳しく、そして自分には最も厳しく処せる人物が何人いるのでしょうか?世の中の責任ある地位にいらっしゃる方全員に読んでいただきたい一冊です。

自らに厳しい鬼になることがどんなに難しいか、気づかさせてくれる一冊です。ウチの会社の人たち全員に是非読んでもらいたい一冊です。

単なる剣豪小説ではありませんでした。