人生は楽しまなくっちゃ

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何していいのかわからない

2006年秋の中国旅行。父も一晩寝て体力が回復したようで無事予定通り帰国することができました。

もしかして母は認知症なのか、という思いが確信に変わっていったのはちょうどこの頃です。年末に帰省した時の母は、一見いつもと変わらない様子でした。もう母も高齢です。息子夫婦2組と孫が一度にそろった食事の用意は簡単ではありません。妻たちも手伝い、魚を焼いたり肉を焼くのは私の仕事。母は大好きな煮豆を大きな鍋で作っていたと記憶しています。 台所でふと流し台の下を見ると、底が焦げ付いた鍋がいくつかしまいこんであるのです。父に聞いてみると「最近、しょっちゅう焦がしとる」とのこと。 

さらに、「ちょっと聞いて。最近、知らん人がおかずを盗んでいくんよ。」??「代わりに見たことのないおもちゃが置いてあったわ」??? まず思ったのは「知らない人が入ってきて料理をもって行くって、そんな物騒なことがあるのか?」でした。認知症ではと思ったのはしばらくしてからでした。 疑いはしたものの、母をどこの病院にどうやって連れていっていいかわかりません。そもそも母が認知症であるという確信すらまだ持っていませんでした。

この頃、母は持病の糖尿病の治療で地元の総合病院にかかっていました。そこの担当医師に電話で相談してみました。すると、「次回診察に来られたら、認知症の検査もしてみましょう。」とのこと。少しだけ肩の荷が降りた気がしました。しかしこれからの10年間に待っていたのは、この程度で簡単に降りるような荷物ではありませんでした。両親と自宅の台所で.jpg

話はそれますが、糖尿病と認知症が併発したらとてもやっかいです。糖尿病の投薬を服用することを忘れる。糖尿病で食事指導を受けていますが、認知症の影響で、指導の内容を忘れる。もともと甘いものとか白米とかお煎餅が好きだから糖尿病になったと思われるのに、その大好きなものを食べてはいけないと、いくら指導を受けても頭に残りません。大好きなものばかり食べたがります。認知症のケアだけではなく、同時に糖尿病のケアもしなくてはいけなくて倍の注意が必要でした。

医師の診断の結果は、やはり「脳の萎縮が見られます。アルツハイマーですね。」とのこと。

この時点で何をすべきだったのか? 今振り返れば、まず地域包括センターに相談する。ケアマネージャーを付けてもらう。ことだったと思います。当時はそんな知識もありませんでした。疑問に思ったら誰かに聞いて、次の疑問が沸いたらまた聞いて、の繰り返しです。 

地元で働いている友人たちにも随分助けられました。療養型病院で事務の責任者をしていた友人には、これから世話になるであろう老人医療施設のこと、この地域の事情などを教えてもらいました。

別の友人には、週に2,3回、家に立ち寄って様子を見てくれる人を紹介してもらいました。

少しずつ知識を貯めていきました。いま振り返ると、後手後手にはなっているものの、致命的な対応の遅れはなかったような気がします。周囲の人、そして地域の社会保障体制のおかげでした。

この頃母の口から出て驚いた言葉 「何していいかわからんが」 

私の正直な気持ち 「何をしていいかわからない」  やっぱり親子ですか?