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帰ってこない息子の分まで料理を作ろうとする母

Sさんのレポートを読んでいます。私たちがいない間にも毎日何か起きています。と言っても徘徊、ろう便、もの盗られ妄想など強度の症状ではなく、記憶障害によるものが多いのですが、毎日顔を合わせていたSさんやヘルパーさんは大変だったろうと思います。
わからない不安を抱えた毎日
 頻繁に出てくるのは、今日の日付がわからない不安、病院に行く予定を忘れる不安、時間を間違える不安が多いようです。記憶がはっきりしていないので、何かしていないと不安でしょうがない。お薬カレンダーの薬を入れ替える。買ってきたはずのものが見つからないので、再度買い物にでかけようか悩む。病院に行く時間がはっきりしないので2時間前から準備して待っている。病院に行く準備を自分でしようとして必要ないものまでバックに入れ必要なものは別の場所にしまってしまう。
その度に、Sさんやヘルパーさんが辛抱強く説明しながら、母のやったことを直していくのですが、大変だったと思います。まだ認知症のはっきりした症状が出始めた頃です。数時間ずつですが、ヘルパーさんが毎日入るようになっていました。毎日誰かが入ることで大きなトラブルは防げるとケアマネージャーさんが判断したのです。毎日違うヘルパーさんが来るのも、母のストレスにはなるのですが、しょうがありません。
何が本当なのかわからない会話
 この頃は母は一人で外出し、自分で帰ってくることができました。徘徊が始まる前でした。しかし、Sさんに「△△(電車で30分ほどの県庁所在地)の病院を5軒くらい回ってきて疲れた。」と言ったのは、実は近所の新しい大きな病院に行っていただけだったり、姿が見えないので心配して待っていると「港の方まで歩いて行って疲れた~」と帰ってきたり、「明日泊りがけで出かけるから、お父さんの食事の用意を頼みます」と言ったのは、実は数時間程度の外出だったりとちょっとした心配させることは毎日のように起きていました。言っていることの何が本当で何が妄想か? 一人で何かさせても大丈夫か? 傍にいる人のストレスと気遣いは想像以上のものだったと思います。
息子とお客さんが来るから…
 この頃のレポートを読んでいて、切なくなる事があります。普段は両親二人の生活ですから、食事の用意も二人分でいいのですが、たまに「今日は息子(私です)が友達を連れてくるから沢山ご馳走を作るから手伝って」とSさんに言ったり、買いものに行って魚や野菜を大量に買ってきては「息子とお客さんの分まで用意せんと」と5人分くらい作ったりするのです。父も最初は黙ってみていたようですが、回数が重なると大声で「(息子)は〇日に来るってさっき言ったろ!今日は来んって何回言わすんや!」と怒鳴るようになってしまいました。 母は、息子が帰ってくるのが楽しみで、苦労して食事を用意しようとしているのに、そのせいで怒鳴られ怖い思いをする。 月に1度しか実家に行けない身としては、とても切なくなってしまいます。
いろんな事を、大体はできるけど、何をやっても何かが違っている。その都度、他人が全部やり直す、そばにいて見守る。寝たきりの患者さんを介護する以上に神経を使うことだと想像します。
家族である自分が毎日、このような母の相手をしていたら、時には大声を出したり、怒鳴ったりしてしまうかもしれません。ヘルパーさんたちには仕事とは言え、感謝するしかありません。他人だからこそできることなのかもしれません。