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幻夏 太田愛 角川文庫 (超おススメです)

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傑作を読ませていただきました。あまり期待しないで手に取ったのですが、とんでもない!ミステリー以外にもいろんな魅力が詰まっていますが、ミステリーとしても超面白い!何より、後半へ読み進むまで結末がまったく予想できませんでした。こんな展開を誰が予想できるでしょうか? 尚と拓の兄弟愛も秀逸です。この二人の兄弟愛もストーリーに密接に関わっているのですが、後半の展開にはあっと驚かされました。さらに母の香苗、父の哲雄の家族愛、これもまた共感でき、さらに母香苗と息子たちのエピソードにも引き込まれてしまうものがありました。

家族愛の物語、ミステリーとしても秀逸!

詳しく書きたいのですが、何を書いてもネタバレになりそうなので、怖くて書けません。それほどまでに、全ての要素がこの作品の中心となる事件を解く伏線となって複雑にからんでくるのです。

ストーリーは現在進行形の誘拐事件と23年前の夏の日の出来事をフラッシュバックして展開していきます。23年前の夏の日の情景、当時の世の中の雰囲気も、気の利いた小道具を使って丁寧に描いてあります。その情景も事件にキレイに交わってくる。あの超ロングラン刑事ドラマ「相棒」はこんな人が脚本を書いているんですね。そりゃロングランになるのもうなづけました。

全ての人の予想を裏切る展開は、今年一番のおススメです。やられました~。

帯のキャッチコピーには「そんな!こんな切ない展開あり…!?」「誰か嘘だと言ってくれ!!」「12歳の夏、突然消えた親友は何を求め何を失ったのか…」とありましたが、「誰か嘘だと…」より「そんな!こんな切ない…」がこの作品を表現していると感じました。

繰り返しますが、ストーリー展開は意外性の連続で、読者に予想させません。この展開は今年一番の収穫でした。遡って太田作品を何冊か読んでみよう!